【パンテノール 毛髪補修を解説】|かずのすけも解説したP&G最新研究②


第2部|IFSCC2023で発表された研究|パンテノールは本当に毛髪内部まで浸透するのか?

「パンテノールは髪に浸透する」と聞くと、「それは以前から知られていたことでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、「浸透している」と「実際に確認された」はまったく別の話です。

2023年にP&GがIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)で発表した研究は、これまで推測されていたパンテノールの毛髪内部への浸透を、高度な分析技術によって可視化した点に大きな価値があります。

化粧品成分解析で知られるかずのすけさんもYouTube動画の中で、この研究は「毛髪科学の常識を大きく前進させる内容」として紹介しています。


目次

IFSCCとは?

IFSCC(International Federation of Societies of Cosmetic Chemists)は、世界各国の化粧品技術者が最新の研究成果を発表する国際学会です。

新しい化粧品成分や処方技術、安全性評価など、世界中の研究者やメーカーが成果を発表する場として知られています。

P&Gも長年にわたりIFSCCで研究成果を発表しており、2023年にはパンテノールに関する研究を、2025年にはその続報となる研究成果を公表しました。

そのため、今回紹介する内容は広告ではなく、国際学会で発表された研究成果という点が大きな特徴です。


従来は「浸透しているはず」と考えられていた

パンテノールは以前からヘアケア製品に配合されていました。

そのため、

「髪の内部まで浸透しているのではないか」

と考えられていましたが、それを直接観察することは簡単ではありませんでした。

毛髪は非常に細かい構造を持っており、内部で成分がどのように存在しているのかを確認するには、高度な分析技術が必要です。

つまり、

「浸透する」という仮説はあっても、それを視覚的に証明することは難しかったのです。


NanoSIMSで毛髪内部を可視化

P&Gは、この課題を解決するために**NanoSIMS(ナノ二次イオン質量分析法)**という先端分析技術を活用しました。

NanoSIMSは、物質の表面や内部に存在する元素や分子を、非常に高い解像度で可視化できる分析装置です。

毛髪を極めて薄く切断し、パンテノールがどこに存在しているのかを画像として確認できる点が特徴です。

研究では、毛髪内部に存在するパンテノールの95%以上が、毛髪内部構造まで到達していたことが報告されました。

これは、「表面に付着しているだけではない」ことを示す重要な結果として紹介されています。

専門用語をやさしく解説

NanoSIMSとは?

簡単にいうと、

「毛髪の中を顕微鏡よりも細かく地図のように見ることができる装置」

です。

どこに成分が存在しているのかを色分けして確認できるため、化粧品研究だけでなく、医学や材料科学など幅広い分野で利用されています。


この記事のポイント

  • NanoSIMSは毛髪内部の成分分布を可視化できる分析技術。
  • パンテノールが毛髪表面だけでなく内部まで到達していることが確認された。
  • 「浸透する」という推測から、「観察された」という段階へ研究が進んだ。

HPLCによって「蓄積」も確認

P&Gはもう一つの分析方法として、**HPLC(高速液体クロマトグラフィー)**も用いています。

HPLCは、液体中に含まれる成分の量を正確に測定する分析方法です。

この研究では、継続使用した毛髪に含まれるパンテノール量を測定し、使用を続けることで毛髪内部に蓄積していくことが確認されたと報告されています。

これは、一度の使用だけではなく、継続使用を前提とした製品設計を考えるうえでも重要な知見です。

ただし、「蓄積する」ことが、そのまま効果の大きさを意味するわけではありません。
実際の使用感や髪の状態には個人差があり、製品全体の処方や使用環境も影響します。


専門用語をやさしく解説

HPLCとは?

HPLCは、

「成分がどれくらい入っているのかを正確に測る分析機器」

と考えると分かりやすいでしょう。

NanoSIMSが「どこにあるか」を見る装置なら、

HPLCは「どれくらいあるか」を調べる装置です。

この2つを組み合わせることで、

  • どこまで浸透したのか
  • どれくらい残っているのか

の両方を確認できるようになりました。


この記事のポイント

  • HPLCは成分量を測定する分析方法。
  • 継続使用による毛髪内部への蓄積が報告された。
  • 「存在する場所」と「存在量」の両方が確認された点が研究の特徴。

この研究が注目された理由

2023年の研究は、「パンテノールが髪を補修する」と証明した研究ではありません。

この研究で示されたのは、

「パンテノールが毛髪内部まで浸透し、継続使用によって内部に存在することが確認された」

という点です。

一方で、

「浸透したパンテノールが、毛髪内部でどのように働いているのか」

までは、この時点では明らかになっていませんでした。

つまり、2023年の研究は「どこにあるのか」を示した研究であり、「どのように働くのか」という疑問は次の課題として残されていました。

ナッシ

ふむふむ。
難しいけど、なんだかすごいね!


2025年研究への重要な橋渡し

この「残された疑問」に答えるために行われたのが、2025年にP&Gが発表した研究です。

2025年の研究では、パンテノールが毛髪を構成するケラチンとどのような関係を持つのかを詳しく解析し、「毛髪構造リペアシステム」という新しい考え方が提案されました。

これにより、2023年の「浸透」という知見と、2025年の「毛髪内部での相互作用」という知見がつながり、一連の研究として理解できるようになります。


この記事のポイント

  • 2023年の研究は「浸透」を確認した研究。
  • 「補修の仕組み」までは、この時点では明らかになっていなかった。
  • 2025年の研究によって、毛髪内部での働きに関する新たな知見が報告された。

第3部では…

次回は、本シリーズの中心テーマである2025年IFSCC研究を詳しく解説します。

以下の内容を、できるだけ専門用語をかみ砕きながら紹介します。

  • ケラチンとは何か
  • 固体核磁気共鳴(SSNMR)とは?
  • パンテノールはなぜケラチンと相互作用すると考えられたのか
  • 多重水素結合とは?
  • 「毛髪構造リペアシステム」とは何か
  • 従来の毛髪補修との違い
  • 毛髪科学における新しい考え方

ここから先は、今回の研究で最も注目されているポイントになります。一緒に分かりやすく整理していきましょう。

執筆ポリシー

本記事は、P&Gが公開している製品情報やIFSCCで発表された研究、公開論文などの一次情報をもとに執筆しています。また、化粧品成分解析で知られるかずのすけさんのYouTube動画も参考資料の一つとし、内容をそのまま転載するのではなく、情報を整理・再構成したオリジナルコンテンツとして制作しています。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)

この記事を書いた人

顔

YUKI

アラフォーの会社員。
日々美容に関する情報を発信中。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次