【パンテノール 毛髪補修を解説】|かずのすけも解説したP&G最新研究③


第3部|2025年IFSCC研究を解説|「毛髪構造リペアシステム」とは?

2023年のIFSCC研究では、パンテノールが毛髪内部まで浸透し、継続使用によって内部に蓄積することが報告されました。

しかし、この時点では

「浸透したパンテノールが毛髪内部でどのような役割を果たしているのか」

までは明らかになっていませんでした。

この疑問に挑んだのが、2025年にP&GがIFSCCで発表した最新研究です。

この研究では、パンテノールが毛髪内部のケラチンと物理的に相互作用する可能性が示され、P&Gはこの新しい考え方を**「毛髪構造リペアシステム(Hair Structure Repair System)」**と名付けました。

化粧品成分解析で知られるかずのすけさんも、この研究について「従来の毛髪補修の考え方を大きく前進させる内容」と動画内で紹介しています。


ケラチンとは?

研究内容を理解するために、まずは「ケラチン」を簡単に確認しておきましょう。

ケラチンとは、髪の約80〜90%を構成しているタンパク質です。

髪の強さや弾力、しなやかさを支える重要な成分であり、カラーやブリーチ、紫外線、熱ダメージなどによって少しずつ構造が乱れていきます。

一般的なトリートメントは、髪の表面をコーティングして手触りを整えるものが多くあります。

一方、今回の研究では、

毛髪内部のケラチンとパンテノールの関係

に注目した点が大きな特徴です。


この記事のポイント

  • ケラチンは髪の主要なタンパク質。
  • 髪の強度や弾力を支えている。
  • 今回の研究では、このケラチンとパンテノールの関係が調べられた。
ナッシ

ケラチンはとっても大切なんだね!


2025年研究では何が分かったのか?

P&Gは、パンテノールが毛髪内部に存在するだけではなく、

ケラチンとどのような状態で存在しているのか

を調べました。

その解析に使用されたのが、

SSNMR(固体核磁気共鳴法)

という分析技術です。

この方法を使うことで、

物質同士がどのような状態で存在しているのかを詳しく調べることができます。

研究では、

パンテノールを処理した毛髪と未処理毛髪を比較した結果、

パンテノールが自由に存在しているのではなく、

ケラチンと物理的な相互作用を示している可能性

が報告されました。


目次

SSNMRとは?

名前だけ見ると難しく感じますが、

簡単に言えば

「分子同士がどのような距離や状態で存在しているのかを調べる装置」

です。

今回の研究では、

パンテノールが毛髪内部で単独で存在するのではなく、

ケラチンの近くで安定した状態になっていることが示唆されました。


この記事のポイント

  • SSNMRは分子同士の状態を調べる分析技術。
  • パンテノールが自由な状態ではない可能性が示された。
  • 毛髪内部でケラチンと相互作用していることが示唆された。

「相互作用」とはどういう意味?

ここで重要なのが

「相互作用」

という言葉です。

この研究では、

パンテノールがケラチンと化学結合したと結論付けているわけではありません。

公開論文では、

パンテノールが持つ複数の水酸基(−OH)が、

ケラチンと多重水素結合などの物理的な相互作用を形成している可能性が考察されています。

つまり、

パンテノールが

髪そのものになる

という意味ではありません。

あくまでも

ケラチンの近くで安定して存在し、毛髪構造を支えるような働きをしている可能性

が示されたということです。

この違いは、誤解しやすいポイントなので注意が必要です。

ナッシ

ちゃんと勉強しないと誤解するところだったよ!


多重水素結合とは?

水素結合とは、

分子同士をゆるやかにつなぐ力の一つです。

パンテノールには水素結合を作りやすい部位が複数存在します。

そのため、

ケラチンとも複数箇所で結びつき、

全体として比較的安定した状態になる可能性が考えられています。

このような結び付き方を、

論文では多重水素結合として考察しています。


この記事のポイント

  • 相互作用=髪と一体化したという意味ではない。
  • 主に物理的な相互作用が考察されている。
  • 多重水素結合がその候補として挙げられている。

毛髪構造リペアシステムとは?

これらの研究成果を踏まえ、

P&Gは

「毛髪構造リペアシステム」

という名称を使用しています。

この考え方では、

パンテノールが毛髪内部へ浸透し、

ケラチンと相互作用することで、

毛髪構造を補強する新しいアプローチを提案しています。

ただし、

ここで重要なのは、

「傷んだ髪が元に戻る」という意味ではない

ということです。

髪は一度ダメージを受けると、生体組織のように自己修復することはできません。

今回の研究も、

毛髪内部の構造を物理的に補強する可能性

を示したものであり、

髪が再生することを示した研究ではありません。

この点は、薬機法や研究内容を正しく理解するうえでも重要なポイントです。


この記事のポイント

  • 毛髪構造リペアシステムはP&Gが提唱する新しい考え方。
  • パンテノールが毛髪内部で相互作用する可能性に着目している。
  • 「髪が元に戻る」という意味ではなく、構造を補強するアプローチとして理解することが大切。

2023年研究との違い

2023年研究と2025年研究は、それぞれ役割が異なります。

2023年研究2025年研究
毛髪内部への浸透を確認毛髪内部での働きを解析
NanoSIMS・HPLCを使用SSNMRを使用
「どこまで浸透するか」を確認「内部でどう存在するか」を解析
浸透・蓄積を報告ケラチンとの相互作用を示唆

この2つの研究がつながることで、

パンテノールに関する理解がより深まったと言えるでしょう。


第4部では…

ここまでで、パンテノールの最新研究について理解が深まったのではないでしょうか。

次回はいよいよ、新発売された**「パンテーン アルティメイト エッセンス ブースター ミスト」**を詳しく解説します。


今回の研究で最も印象的だったのは、「パンテノールが浸透する」という事実だけではなく、「毛髪内部でどのように存在しているのか」という点まで研究が進んだことです。

一方で、研究成果をそのまま製品効果と結び付けて考えるのではなく、「研究で示されたこと」と「実際の使用感」は分けて理解することも大切です。

次回は、その研究成果が実際の製品設計にどのように活かされているのかを、成分表示を見ながら詳しく解説していきます。

この記事を書いた人

顔

YUKI

アラフォーの会社員。
日々美容に関する情報を発信中。

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